日下部善己
ISBN978-4-89757-920-7
A5版・上製・370頁
福島県は、その地形や気候的特色等から会津、中通り、浜通りの三地方に大別される。
土佐といえば高知県を指すような旧一国一県の形を取っておらず、江戸期には多くの藩や天領が置かれ、各地域にそれぞれの風土と歴史がある。これらの様々な在り方が、長い歴史の中で本県の多様な地域性・価値観を創出した。
そんな福島県各地域の多様な歴史的特色をとらえることを目的に、古代から現代にいたる各時代の主要な史跡の歴史や研究活動等をまとめた1冊。
目次
はじめに 3
【図版解説】 5
第一章 地域社会の歴史と誇り
1 識る・活かす・伝える ふるさとの歴史 16
2 ふるさとの歴史を伝える人々 18
3 地域社会の特色を探る 20
第二章 前方後円墳と条里遺構-古代地域社会の基盤形成-
第一節 中通り最古の前方後円墳
1 あだたらの里の成り立ち 30
2 大王の時代と“あだちの王” 33
3 あだちの王 傾城壇古墳と二子塚古墳 34
4 谷地古墳の埴輪 -埴輪を持つ古墳- 36
5 上ノ台遺跡や住吉B遺跡に住んだ人々 -古墳時代の始めや後半頃の暮らし- 36
6 あとがき -時代が示すあだちの顔あれこれ- 38
第二節 条里遺構の考古学的調査
1 はじめに 43
2 条里遺構の研究 44
3 おわりに 49
第三節 伊達西部の条里遺構
1 はじめに 55
2 伊達郡西部の条里遺構 56
3 伊達郡西部条里遺構の発掘調査 62
4 大地に刻まれた歴史 80
5 おわりに 81
第四節 天台別院と木幡山経塚群 86
第三章 阿津賀志山合戦と鎌倉 -中世地域社会と中央-
第一節 奥州藤原氏と頼朝
1 はじめに 90
2 文治五年奥州合戦と二重堀 91
3 防塁の位置と歴史的環境 95
4 奥州合戦について 97
5 おわりに 101
第二節 阿津賀志山防塁の構造
1 はじめに 106
2 調査経過 107
3 防塁の構成と発掘調査 110
4 発掘調査の結果 114
5 防塁の調査成果と問題点 126
6 おわりに 129
第三節 安達太良山と相応寺
1 安達太良山の姿 131
2 相応寺と恵日寺そして実賀 133
3 相応寺及び元相応寺の文化財等 135
4 おわりに 141
第四章 侍の城と百姓の城 -自立する戦国期地域社会-
第一節 塩松石川氏の百目木城と田沢八館
1 城の機能とその認識のあり方 -武士・村(百姓)の城- 146
2 百目木城の歴史と認識のされ方 -石川様の坪の石- 146
3 田沢八館の歴史と認識のされ方 -村の館としての伝承- 154
4 村の館 -小屋入り、小屋上り- 156
5 おわりに 159
第二節 東安達の拠点城郭
1 四本松城跡 164
2 小浜城跡 167
3 百目木城跡 170
4 宮森城跡 172
第三節 会津・仙道境目の城 玉井城の位置と構造
1 はじめに 174
2 福島県中世城館跡研究の一断面 176
3 安達郡南部の城館跡 179
4 玉井城をめぐる興亡 184
5 玉井城跡調査研究の成果 187
6 玉井城の復元研究 192
7 おわりに 194
第四節 城館跡出土の石臼類 -福島県内城館跡発掘調査の成果より-
1 はじめに 196
2 県内城館跡等の考古学的調査と石臼類 198
3 石臼類の特色と区別 203
4 おわりに 211
第五章 広重 みちのく紀行 -文化を創る近世地域社会-
第一節 歌川(安藤)広重と渡邊半右衛門
-一立斎広重筆「陸奥安達百目木驛八景圖」-
1 はじめに 222
2 百目木の成立 -中世の城下から近世の宿駅へ- 223
3 渡邊半右衛門の登場 231
4 歌川広重の百目木紀行 240
5 百目木広重の今昔 247
6 おわりに 273
第二節 二本松・塩松の戦国期城館のその後
1 はじめに 260
2 遺跡としての城館跡 260
3 古城・古館の認識 -城館名とその数の変遷- 261
4 おわりに 273
第三節 芸術文化人の活躍 -国分藤四郎・根本愚洲・大原文林- 275
第六章 歴史と伝統の再響プログラム -近・現代地域社会の多様性-
第一節 川(水辺)へ行く道 -町屋地割の分析から-
1 はじめに 280
2 町屋の成立 281
3 町屋地割の特色 284
4 おわりに 291
第二節 明治の大凶作と海外出稼ぎ・移住
1 はじめに 293
2 海外出稼ぎ・移住とその歴史的背景 293
3 大志を抱き、波濤を越えた人々 299
4 おわりに 301
第三節 梵鐘の戦時供出と七〇年後の再響
1 百目木虚空蔵尊の歴史 304
2 境内の堂宇等 305
3 福一満虚空蔵尊(虚空蔵菩薩)の行事等 311
4 虚空蔵堂の釣鐘と大仏の出征 312
5 虚空蔵梵鐘の再響への道〜七〇年の時を超えて〜 314
第四節 年中行事の再現・伝承活動
1 年中行事 四季と仕事と人々 320
2 だんごさし 321
3 節 分 322
4 ひなまつり 323
5 端午の節句 324
6 七 夕 324
7 お 盆 325
8 お月見 326
9 おわりに 327
おわりに -地域社会の歴史的個性- 329
1 石川弾正顕彰会の設立 329
2 石川弾正顕彰会の主な活動 336
あとがき 340
写真提供・協力者 342
初出文献目録 343
著作目録・調査遺跡等 346
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