植村 美洋
ISBN　978-4-89672-059-5
四六版・並製本・200頁

蔦屋重三郎を軸に、田沼意次と松平定信の政治的闘い、
田沼意次の蔦屋保護と定信の蔦屋取り締まりなどの関係について、
政治的背景を踏まえながら興味深く描く。

目　次
はじめに　３

序　章　蔦屋重三郎と二人の権力者　11
一　蔦屋重三郎とはどんな人物だったのか　12
二　蔦屋重三郎・田沼意次・松平定信の関係は、どのようなものだったのか　14

第一章　田沼意次の登場から御用取次就任と蔦屋重三郎　19
一　幕府の政治・経済と田沼意次の登場　20
二　田沼意次はなぜ権力の頂点に上り詰めることができたのか　22
◇田沼意次の出自と人間性
◇田沼意次はなぜ出世できたのか
三　蔦屋重三郎の誕生　30
◇蔦屋重三郎の出自と吉原
◇吉原とはどんなところだったのか

第二章　田沼意次の絶対的権力形成と松平定信の登場　39
一　御用取次から老中へ　40
◇田沼意次の権力の特徴　－奥と表の両方の権力者－
二　松平定信の登場　42
◇松平定信、御三卿の田安家に生まれる
◇松平定信、白河藩松平家の養子となる

第三章　蔦屋重三郎の活躍と田沼意次の没落　51
一　蔦屋重三郎の活躍～江戸のメディア王へ～　52
◇蔦屋重三郎、書店を開く
◇蔦屋重三郎の商売の特徴と才覚
◇蔦屋重三郎の洒落本・黄表紙の刊行
◇天明期の狂歌隆盛
◇蔦屋重三郎の日本橋進出
二　田沼意次の人脈・党派の形成　72
◇政略結婚と党派の形成
◇幕府最高権力者へ
三　田沼意次の政策　78
◇独裁政治
◇経済政策
◇産業振興策
◇独自の新規政策
四　松平定信の白河藩主就任と政策集団の形成　89
◇白河藩政
◇溜詰昇進と政策集団の形成
五　田沼意次の没落　94
◇田沼意知の死
◇親類縁者の離縁・義絶
◇処罰
六　松平定信の老中就任　101
◇老中首座へ

第四章　寛政の改革と蔦屋重三郎　105
一　松平定信の寛政の改革　106
◇政権の確立
◇寛政の改革の性格
◇経済政策
◇農業政策（農村政策）
◇社会政策（都市政策）
◇なぜ松平定信は学問・思想統制をおこなったのか
二　田沼意次の失脚と賄賂政治　129
◇処罰と死
◇田沼意次は本当に賄賂政治家だったのか
三　蔦屋重三郎の処罰　140
◇寛政の改革の影響
◇処罰

第五章　寛政の改革後の蔦屋重三郎　151
一　松平定信の老中辞任とその後の政治　152
◇松平定信政権に対する不人気
◇将軍・閣僚たちとの対立と老中辞任
◇老中辞任後の松平定信
二　蔦屋重三郎の経営転換と最期　160
◇処罰を受けた後の蔦屋重三郎
◇蔦屋重三郎と喜多川歌麿
◇名プロデューサー蔦屋重三郎の最期

主な戯作者・絵師の寺と墓　177

おわりに　192
参考文献・資料　197